「LiNEST」(リネスト)はクロモジの豊かな香りを生かした基礎化粧品。一関市の東里工業が2021年4月に発売し、地元でもあまり知られていなかったクロモジの魅力を発信している。
同社は板金加工・レーザー加工・産業用機械の設計製作を手掛ける会社。漆を抽出するための装置を開発する中でクロモジと出会い、「地元のクロモジから精油を取ったら面白いものができる」とクロモジ事業を立ち上げた。独自の衝撃波破砕装置によって高効率で精油を抽出し、マーナーコスメチックスくりこま高原藤沢事業所(同市)と共同で化粧水とクリームを商品化。「重すぎず肌なじみがいい、使いやすいものが出来たと思う」と開発に携わった東里工業の髙橋若葉さんは話す。
ウッディーで透明感のある爽やかな香りのクロモジ精油は「リナロール」という成分を多く含む。これはローズウッドやラベンダーにも含まれる成分で、アロマセラピーでは鎮静、抗不安、抗炎症などの作用があるという。「特にお風呂上がりのリラックスタイムにぴったり」(髙橋さん)。今後はクレンジング、洗顔料、美容液を追加予定。クロモジのアロマに包まれながら、穏やかな気分で毎日のスキンケアが楽しめそう。
東里工業
一関市東山町長坂字里前105-8
0191・47・2435
リネストブランドサイト https://linest.jp/
(いわにちリビングun 2021年11月19日号掲載 クロモジ特集より)
クロモジ
いい香りがあります。
日本の山地に自生しています。
昔から活用されてきましたが、最近、再注目されています。
その樹木の名は、クロモジ。
森林資源が豊富な一関で生まれたクロモジ商品を紹介します。
クロモジとは
北海道南端~九州の広い範囲に分布するクスノキ科の落葉低木。成長すると幹に黒い斑点模様が現れ、まるで黒い文字が浮き出たように見えることが名前の由来。リラックス作用が期待される「リナロール」を主成分とするいい香りは、資源保全のため手に入りにくくなったローズウッドに類似。日本固有種の香木として「和製アロマ」「国産ハーブ」といわれる。
日本人との関わり
江戸時代の薬用植物図鑑に登場するなど、古くから日本人にとって身近な存在。特に和菓子用の高級爪ようじはそれ自体が「黒文字」と呼ばれ、烏樟(うしょう)という生薬としても活用される(「養命酒」が有名)。枝を煮出してハーブティー、精油を抽出してアロマオイルと活用の幅が広がっており、近年は健康効果に対する研究も進められている。
参考資料/クロモジ研究会「『クロモジ』の魅力を再発見」