盛岡発!「自分が猫だったら?」と
想像しながら開発された猫用品
2010年に盛岡市で誕生した「nekozuki(ねこずき)」は、“猫目線のものづくり”にこだわる猫用品ブランド。ごはんがきれいに食べられる食器、「バチン」という衝撃が少ない爪切り、柔らかい布製のエリザベスカラー…。“猫社員” たちの厳しいモニターテストと、日本の職人の技から生まれたオリジナル商品が、全国の猫と飼い主の幸せな暮らしを支えている。
nekozukiの商品開発は「猫の困りごとを解決したい」がモチベーション。「ごはんの食べ残しが多い」という困りごとを聞けば、傾斜や返しを付けて最後まで食べやすくした磁器「まんまボウル」を作り、「爪切りを嫌がり大暴れする」という困りごとには、猫の習性を利用した「もふもふマスク」を提案。「試作品を猫に使ってもらい、その様子をじっくり観察して修正を重ねる。だからうちの商品のデザイナーは猫たちです」と話すのは、nekozukiを展開する「クロス・クローバー・ジャパン」代表取締役の太野由佳子さん。モットーは猫を尊重すること。決して無理強いせず、気長にモニターテストを繰り返し、猫がストレスなく使える形や素材を探り出している。
【まんまボウル】舌で押しながらなめ取るという猫の食べ方に合わせた形で、最後まで食べやすい(まんまボウル4620円~)
3匹の猫と暮らす太野さんは、「猫に関する仕事をしたい」と05年に起業。初めは仕入れた猫用品を店舗で売ったが、相談に来る飼い主の悩みに応える商品がなく、「無いなら作ろう」と商品開発に乗り出した。「差別化」と「猫のため」に、オーガニックコットンやナンブアカマツといった上質素材を使い、高い技術を持つ職人に製造を発注。コンセプトを丁寧に説明できるネット通販で売り出すと、猫の困りごとの解決法を検索する人たちにつながった。さらに購入した人が使用シーンや感想をSNSにアップ。全国の猫たちの反応が、購入する人にはもちろん、開発にも役立っている。
【フェザーカラー】手術後や闘病中の猫のために30回以上改良。柔らかいからお昼寝もしやすい(3999円~)
ブランド設立10年でオリジナル商品は約50種類になり、全国の顧客の意見を反映した改良版、派生商品も増えた。中でも、猫が傷口をなめるのを防ぐ介護用品・エリザベスカラーは、太野さんが飼い猫のために作った初代「フェザーカラー布」の発売以来改良を重ね、現在は4サイズ・8タイプをラインアップ。「病気でやせてしまってサイズが変わった、うちのコは一生カラー生活です、という声も届く。バリエーションを増やすことで猫のストレスを少しでも軽減できれば」と意欲を新たにする太野さん。「お客さまの意見で育てられていくから、nekozukiは永遠に未完成。でも猫がいる限り頑張れる」。猫のための商品開発は終わらない。
【もふもふマスク】目隠しをするとおとなしくなる猫の習性を活用した、爪切り時のお助けアイテム。獣医師にも使われている(2365円)
クロス・クローバー・ジャパン
盛岡市菜園1―3―6 農林会館7階
019・601・7892
nekozuki オンラインストア https://kurokuro.jp
(いわにちリビングun 2021年12月30日号掲載 ねこ♡特集より)