名著がヤマケイ文庫に 「ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見」

 一関市出身の遠藤公男さんの著書「ヤマケイ文庫 ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見」が11月2日、山と溪谷社から刊行されました。みちのくのニホンオオカミの最後に迫るノンフィクションが、文庫本になって再登場です。

 遠藤さんは1933年生まれ。一関一高を卒業後、主に岩手県山間部の分校に教師として勤めるかたわら、コウモリ(岩手)とノネズミ(北海道)の新種を発見。1973年に「原生林のコウモリ」(学習研究社)を刊行。1975年に退職して作家生活に入り、翌年「帰らぬオオワシ」(偕成社)で日本児童文学者協会新人賞・ジュニアノンフィクション文学賞、1983年「ツグミたちの荒野」(講談社)で日本児童文芸家協会賞、2000年に日本鳥類保護連盟総裁賞、2017年に日本哺乳類学会功労賞を受賞しています。

 「かつていたニホンオオカミは、明治38年に奈良県鷲家口での捕獲を最後に絶滅したとされている。明治の初めには広く日本にいたといわれるニホンオオカミたちは、一体どこへ消えてしまったのだろうか?」

 本書は、東北の地で明治・大正の時代を生き、オオカミの最後を見てきた“山の民”の遺言を収集。藩政の書面をたどり、公文書庫にあった明治時代の「狼狩り」の記録を追っています。さらに、民家の縁の下にあるカメに秘蔵されていた「狼酒」のDNA鑑定の結果や、東北の山里で行われてきた「狼祭り」など、貴重な歴史的資料をひもときます。

 2018年刊行の単行本を文庫化するにあたり、日本の野生動物専門家・高槻成紀さんによる解説、文庫版あとがき「日本に巨大オオカミがいた」では最新のニホンオオカミ事情を追加しています。

 文庫判304ページ。税込み990円。山と溪谷社ホームページからも注文できます。

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