一関市東山町に伝わり、900年もの歴史ある東山和紙。平安時代、奥州藤原氏が写経用に作らせたのが始まりとされ、平泉文化とも深いつながりのある工芸品だが、近代化とともに需要が低迷。紙すき工房もわずか2軒となり、存続の危機に立たされつつある。そんな中、東山和紙に魅せられ、「少しでも力になれれば」との思いから和紙クラフトの作品づくりを始めたのが、県内在住の長谷川美智子さんと川村祐子さん義姉妹。紙雑貨のほか、アクセサリー、アロマディフューザーなど現代の暮らしに合わせたアイテムを提案し、伝統工芸に新たな風を吹かせようと奮闘している。
きっかけはコロナ禍
活動のきっかけはコロナ禍に作った和紙のマスク。丈夫で、蒸れにくく、肌にも優しい和紙の素晴らしさに気付かされた。東山和紙は楮(こうぞ)という木を育てることから始まり、すべてが手作業。その工程の多さ、職人の技術の高さ、品質の良さ、知れば知るほど、手すき和紙の魅力に引き込まれた。
知られずに消えていくなんて、もったいない
2人はワークショップの講師を務めるなど魅力発信にも力を注ぐ。「岩手にこんな素晴らしいものがあるのに知られずになくなってしまったら、もったいない。和紙には人を癒やし、豊かな気持ちにさせてくれる力がある。暮らしの身近な存在になってくれたら」と思いを込める。現在はイベントやワークショップを中心に活動しているが、今後はネット販売もしていく予定だ。
<和紙マスク取扱店>
・東山和紙 紙すき館(一関市)
・ラフィーグ(盛岡市)