話題のサウナのあれこれ、教わってきました。

 サウナの良さとは? 岩手のサウナブームを牽引する一関市の「古戦場」のサウナー(サウナ愛好家)3人に聞きました。

古戦場のサウナ室。サウナストーブはロウリュができる形状に改造した特注品

 2021年のユーキャン新語・流行語大賞に、サウナ関連用語の「ととのう」がノミネートされるなど、サウナ人気を感じるきょうこの頃。一方で、サウナが温浴施設の一角にあることは知っていても、入ったことがない、または楽しめなかった、という人も多いのではないでしょうか。

 「実は私もサウナが好きじゃなかった」と話すのは古戦場の浅野裕美社長。「熱くなるのがつらい」と苦手意識があったものの、1年ほど前にサウナブームの火付け役とされるテレビドラマにハマり、各地のサウナ施設を巡るうちに「サ活(サウナ活動)」に目覚めました。それを機に、自身の店のサウナをサウナーとしての実感をフィードバックして改装。草を刈って外気浴スペースを設けたり、オリジナルグッズを開発したりするうちに、サウナ検索サイト「サウナイキタイ」で岩手県の行きたいサウナ上位にランクイン。そんな社長に刺激を受けた若手社員の井上心太さん、中村惇平さんは昨年夏、軽バンにオリジナルのサウナグッズを積み込んで全国サウナ巡りの旅を敢行。訪問先でグッズを売り込み、熱波師の技を持ち帰って一関のサウナ文化を盛り上げています。

 サウナーが入浴作法としているのは、サウナ室→水風呂→休憩(外気浴)を1セットとして、3セットほど繰り返すもの。刺激と開放感がくせになるそうです。ただし、初心者はこの作法にとらわれず、水風呂や外気浴は省いてもOK。サウナーの説く「ととのい方」は参考程度にして、まずは自分の体に合った、気持ちいいと思える入浴法で楽しむのがおすすめです。

サウナの入り方

(※あくまで一例です。自身の体力に合わせ、体調に気を付けながらお試しください)

PART1 サウナに入る前に
 まずは浴室で頭と体を洗いましょう。水を1杯飲んでおき、トイレを済ませておくのも忘れずに。持ち物はタオル1枚と、顔や頭を熱から守るサウナハットがあると快適。体を洗ってすぐサウナ室に直行する人もいますが、サウナに入る前に水風呂に入る人や、湯船で温まってからサウナに入る人もいます。お好みでどうぞ。

PART2 サウナ室で汗をかく
 体の水分を拭き取ってからいざ入室。備え付けのサウナマットを敷いて座ります(施設による)。室内には12分計と呼ばれる時計があるので、それを見れば自分が何分間サウナにいるか確認できます(針が1周する12分前には必ず休憩を)。サウナーは5~10分入浴するそうですが、初心者は時間を決めず、自身の体調や体力に合わせて入浴しましょう。今のご時世、室内では「黙浴」がルール。横になったり、タオルを干したり、マットや私物で場所取りをするのはマナー違反です。

PART3 水風呂でクールダウン
 水風呂は足先からゆっくり入って、灼熱のサウナ室で熱くなった体を冷やします。水風呂に入る前は必ずシャワーなどで汗を流すのがマナー。どれぐらい水風呂に入るかはそれぞれの体質や水温次第ですが、サウナーになると首まで漬かり、「自分が吐いた息が冷たく感じるまで入る」(浅野社長)など自分なりの気持ちいい目安があるそうです。これも初心者は無理せずに。

PART4 外気浴で「ととのい」
 水風呂から上がったら「ととのいスポット」とも呼ばれる外気浴スペースへ。体が冷えないように体の水分を拭いてから、リクライニングチェア(インフィニティチェア)に体を預けます。自然の風に当たり、背もたれを倒せば、体は一気にリラックスモードへ。サウナと水の強い刺激の後だけに、経験豊富なサウナーは「開放的になる」「魂が抜ける」という心地良さになれるそうです。これで1セット終了。

 「サウナでは外気浴が一番好き」と話す井上さんと中村さんが思うサウナの魅力は、「普段はパソコンやスマホを常に手にしているけれど、サウナでは自分に向き合える」(井上さん)、「サウナにいるといろんな考え事がまとまる」(中村さん)など、フィジカル(肉体)よりもむしろメンタル(精神)の癒やし。情報があふれる現代、デジタルデトックスのひとときがリフレッシュにつながっているのかもしれません。浅野社長はサウナブームの理由を「ソロ活にぴったりだからかも」と感じています。一人で気ままにできて、非日常感も味わえる。「サウナー同士の交流も楽しい」そうです。

 まだまだブームの熱気が続きそうな「サウナ」。気になっている人はお近くのサウナを訪ねてみてはいかがでしょう。

知ってた? サウナ用語

ロウリュ
サウナストーンから上がる高温蒸気

 フィンランド語で「蒸気」を意味する言葉で、サウナ室内で熱せられたサウナストーンにアロマ水などを掛け、水蒸気を発生させること。水蒸気が広がることで体感温度が上がり、発汗を促します。施設によっては自分で水を掛ける「セルフロウリュ」ができますが、一度に掛け過ぎるとストーンが冷えて室温が下がるため、1回3杯までなどのルールがあります。「掛けまーす」と一声掛けてから行うといいでしょう。

熱波師
サウナ室に熱風を起こす職人

 ロウリュによる高温の蒸気を、タオルであおぐサービスを行う人。巧みなタオルさばきで蒸気をかくはんし、蒸気の動きを見ながら室内の客にまんべんなく蒸気を届けてくれます。古戦場では3人の熱波師が月4回熱波イベントを開催中。熱波師がいない通常時は、サウナ室内に常設されたうちわで熱波を起こすこともできます。

ヴィヒタ
体をたたいたり、室内につるしたり

 本場フィンランドのサウナで使われる、シラカバの枝葉を束ねたもの。外気浴タイムに、水で濡らしたヴィヒタを手に持ち、全身をたたくようにして使います。マッサージ効果のほか、「お清め」の意味もあるとか。使わなくても、室内につるしているだけでサウナ気分が盛り上がるアイテムです。

サ飯
サウナの後に食べるごはん

 サウナ飯(サ飯)の略。たっぷり汗をかいてスッキリした後だけに、とってもおいしく感じられます。古戦場ではがっつり栄養補給したい人には「ジンギスカン定食」(1500円)、美容重視の人には鳥そぼろ粥、チキングリル、温野菜、ゆで卵などが乗った「ヘルシープレート」(1000円)=写真=が人気。

サウナ名物
水分補給の「オロポ」とは
 「オロナミンC」と「ポカリスエット」を1対1で混ぜた、サウナ施設定番のドリンク。サウナーの間で愛飲されている。古戦場にはソフトクリームを乗せた4代目考案の「クリームオロポ」もある。

Goods
喉も守れるサウナハット
 各地の施設を訪ね歩くサウナーにとって、施設のオリジナルグッズ集めも楽しみの一つ。タオルを差し込む穴を付けた「古戦場サウナハット」(3960円)は、サウナハットとタオルのダブル使いで、喉や顔をサウナの高温から保護できる優れモノ。

古戦場のサウナ室入り口には、口に含むための氷を用意。浅野社長が他の施設でやっているのを見て導入した

取材協力

古戦場
一関市赤荻字堺78―2
0191・25・2500
【入浴】10時~21時30分
【食事】10時~20時30分
入浴料/中学生以上700円(17時から600円)
小学生400円、小学生未満無料

※サウナは持病のある人、妊娠中の人、お子さま、飲酒後などはお控えください

(いわにちリビングun 2022年1月28日号掲載 「特集 はじめてのサウナ!」より)

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