手から生まれる ひかりたち (1)紫雲石硯(一関市東山町)

地中から石を掘り出し光を吹き込む

イラスト・文 戸田さちえ

 紫雲石硯の製作過程で肝になるのが石選び。硯の石は硬過ぎると墨が擦れず、軟らかければ硯自体が傷みやすい。教員として働きながら若い頃から石選びや製作に携わってきた佐藤鐵治さんは「地中から掘ったものでも90%は使えない」と難しさを語る。良質な石かどうか見極めるポイントは「鋒鋩がきれいに入っているか」や「石をたたいた時の音」。90歳を超え、ただ1人となった職人の研ぎ澄まされた感覚が紫雲石硯の伝統を支えている。

(写真・文 遠藤凌平)

 一関市で活動するイラストレーターとフォトグラファーが、地元でものづくりをする人たちの“あたたかみのある背景”をそれぞれの視点で切り取りました。3月に同市で開催したコラボ展より一部を紹介します。(全5回、不定期掲載)

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