本紙で連載中のエッセー「みんなワケあり」「わたしもワケあり」の馬里邑れいさんが、自身の祖父・まさおさまとの大切な思い出を小説にした「まさおさま」を発刊。まさおさまをはじめ、厳しい祖母、優しい母、自由な父、謎の親子などおなじみの人物が登場します。エッセーでは書かれていないエピソードや、より深い話も多く、読んだ後、なぜか懐かしく心が温かくなるお話です。
馬里邑さんに、本に込めた思いなどをお聞きしました。
執筆のきっかけは何ですか。
―「まさおさま」は、いつか書いてみたいと思っていた本です。まさおさまは、私にとって師であるからです。生きていくことの意味をすべて教わったと思います。行動、後ろ姿から多くを吸収しました。
怒ったり悲しんだりする馬里邑さん(作中では麻衣ちゃん)に、まさおさまが語りかける言葉にハッとさせられましたが、中でも一番心に残っている言葉は何ですか。
―人間味にあふれる魅力的な祖父でした。特に印象的な言葉は、「この世は学ぶことが多くてぼやぼやしちゃいられない」。私の座右の銘です。祖父まさおさまと暮らせたことが、私の最高の財産です。
まりむら・れい
一関市出身、栃木県足利市在住。一関一高、日本放送作家協会シナリオ教室研修科卒業。エッセー、ジュニア小説、漫画やゲームのノベライズなど多彩な執筆活動を続ける。岩手日日新聞で日曜エッセー「愛しき日々」を2008年4月から半年間連載。主な著書に「ちょっとだけ悪い女」「身代金」「宇宙戦艦ヤマト復活編」。実話をまとめた「ブレイクスルー(突破)―中2から働き、8年後には司法書士」(現代書館)など。