特集 ちょっと特別な植物オイル、どう食べる?

小さな製油所から生まれる油と循環

 かつては菜の花を育て、油も自給していたという一関市大東町の農村部。ここに、「昔の菜種油をもう一度食べたい」という声から始まった小さな製油会社「デクノボンズ」があります。顔の見える農家が作った国産原料を、化学溶剤を使わない昔ながらの圧搾法で搾るのがこだわり。もとの植物の成分が多く残り、味や香りの個性が生きているのが特徴です。

左からデクノボンズの「菜種油」(140g・648円)、「ひまわり油」(140g・1080円)、「ジャパングレープシードオイル」(40g・各1944円)。グレープシードオイルはワイナリーごとに搾っており、写真は秋保ワイナリー(マスカットベリーA)、涼海の丘ワイナリー(山ぶどう)、エーデルワイン(リースリングリオン)のオイル

 2005年の発足当初から作る菜種油をはじめ、ひまわり油、えごま油が同社の定番ですが、今年は「国内で他にやっているところがない」というグレープシードオイルを新発売。県内外のワイナリーから仕入れたブドウの種を、熱をかけずに圧搾することでフレッシュな風味を引き出した商品。県が主催する「岩手ぅんめぇ~もん!!グランプリ」で最優秀賞を獲得するなど注目を集めています。

 地域の製油所が作るのは、油だけではありません。菜の花やヒマワリが咲く美しい花畑は人々を楽しませ、未利用資源(ブドウの搾りかす)のアップサイクルが経済と資源の循環をもたらし、搾った後の油かすは肥料として再び植物を育てます。古里の風景を感じる油を、ちょっと特別な調味料の一つとして試してみませんか。

菜種油は揚げ物におすすめ
グレープシードオイルは生のままフレッシュな風味を楽しんで

 デクノボンズの製油所の隣に立つのは、ローカルガストロノミー(地方の美食)を掲げる完全予約制レストラン「On」。デクノボンズ代表取締役の小野寺伸吾さんに油の特徴を、Onオーナーシェフの料理家・千葉翔太さんに植物油の使い方を教わりました。

グレープシードオイル
パンに付けて

■グレープシードオイルに塩少々を加え、パンに付けていただく。

☆ブドウの香りがよく分かりワインのつまみにぴったり。チーズにかけるのもおすすめ(小野寺さん)

菜種油でセリとゴボウのかき揚げ

Recipe(4人分)

■材料 セリ(できれば根付き)1袋、ゴボウ1/3本、小麦粉大さじ1、水、マヨネーズ、塩・こしょう、菜種油各適量

■作り方 セリの根は水でよく洗う。セリは一口大に、ゴボウはささがきにして、軽く水に浸してあく抜きする。ボウルにマヨネーズを入れて少しずつ水を加え、よく混ぜる。小麦粉を加えて少し粉が残るくらいに混ぜ、セリとゴボウを加えてさっくり混ぜる。170度の菜種油で揚げ、塩・こしょうを振る。

★菜種油を揚げ物に使うとカラリと揚がっておいしく出来る(千葉さん)
☆菜種油は熱に強く、酸化しにくい。香りの強い食材に合わせると◎(小野寺さん)

ひまわり油で手作りマヨネーズ

Recipe

■材料 卵黄Mサイズ2個、酢大さじ1、甜菜糖(砂糖)大さじ1、レモン汁大さじ1、マスタード大さじ1、ひまわり油200㎖、塩・こしょう、コリアンダー(お好みで)各少々

■作り方 ボウルに卵黄、酢、砂糖、レモン汁、マスタードを入れて混ぜる。ひまわり油を細く糸を垂らすように入れていく。お好みの硬さになったら塩・こしょう・コリアンダーを加えて味を調える。

★手作りマヨネーズは日持ちがしないので早めに食べ切って(千葉さん)
☆ひまわり油はクセが強くないのでドレッシングに使いやすい(小野寺さん)

グレープシードオイル 白身魚のポワレ

■スズキを塩・こしょうで味付けし、ソテーした後、仕上げにグレープシードオイルを垂らす。

★温かい料理の仕上げに振り掛けてふわっと香りを出すといい(千葉さん)

グレープシードオイル カルパッチョ

■マダイの刺し身にスダチとグレープシードオイルを掛ける。

★生のまま使うと風味を逃さない(千葉さん)
☆白ワイン用ブドウのオイルは、白身魚に合う(小野寺さん)

<取材協力>

デクノボンズ
一関市大東町渋民字和田沢117-1
0191・75・3096
https://dekunobonz.jp/

Restaurant&catering On
一関市大東町渋民字和田沢117
080・2845・7605
営/11時30分~15時、18時~22時
※1日1組完全予約制

(いわにちリビングun 2022年12月2日号掲載特集「ちょっと特別な植物オイル、どう食べる?」より)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!