「日本の植物学の父」と山を歩きたくなるエッセー集 栗駒山や岩手山も

 日本の植物学の父・牧野富太郎さん(1862~1957年)のエッセーを厳選したヤマケイ文庫「牧野富太郎と、山」が3月3日に発売。岩手山の美しい高山植物や、栗駒山と他の山々の山草分布などについてもしたためられています。

 牧野さんが命名した新種や新品種など植物は1500種以上。4月放送スタートのNHK連続テレビ小説「らんまん」で神木隆之介さんが演じる主人公のモデルとされています。

 牧野さんは植物を観察、採集するために各地の山々を訪れ、エッセーに残しました。その中から、幼少期の思い出をつづる「狐のヘダマ」、危うく遭難しかけた「利尻山とその植物」、高山植物の魅力を存分に語る「夢のように美しい高山植物」などの35のエッセーを選出しました。

 目次によると、栗駒山が「山草の分布」の項目で鳥海山や戸隠山とともに登場。「夢のように美しい高山植物」は岩手山も舞台の一つで、御嶽山、立山、八ケ岳まで話題を広げます。このほか「秋田ブキ談義」「富士登山と植物」「越中立山のハギ」「『草木図説』のサワアザミとマアザミ」「紀州高野山の蛇柳」などを掲載。

 解説は「西の魔女が死んだ」などで知られる作家・梨木香歩さんの書きおろし。「そのとき彼がいた山のまさにその地点が、臨場感にあふれるあまり、場面ごと目に浮かぶ。野山を歩む牧野に、同行したかったと思うのは、私だけではあるまい」と評しています。

 文庫版、272ページ(口絵付き)。山と溪谷社発行。税込み990円。

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