桜井真城さん(北上出身)の時代小説が大賞! 第18回小説現代長編新人賞

桜井真城さん(さくらい・まき)

 北上市出身の桜井真城さんの時代小説「転びて神は、眼の中に」が、第18回小説現代長編新人賞の大賞に輝きました。江戸時代初期の奥州を舞台にした本格忍者スパイ小説で、「新人賞の中でも権威と実績のある素晴らしい賞を頂戴した」と喜びを語っています。

 桜井さんは1979年生まれ。明治大法学部卒業後、会社に勤めながら執筆をスタート。出産、育児のため一時中断していたものの、久しぶりに再開して書き上げた「転びて神は、眼の中に」が受賞しました。1163編の応募の中から最高賞に選ばれ、選評では「一読して、ほかの候補作からは抜きんでている印象を持ちました」「最大の特徴は作中人物たちの喋る方言」「エンターテインメントのツボをきちんとおさえた力作」と絶賛されています。受賞発表と併せ、小説現代2024年3月号に掲載されています。

 物語の舞台は1625年、幕府による伴天連弾圧が進む奥州。七色の声を操る17歳の望月景信は、南部藩の忍衆・間盗役の一員として伊達藩の忍・黒脛巾組の動向を探っていた。禁教とされる伴天連宗だけでなく、新興宗教「大眼宗」も台頭する東北は、国同士の領地争いも加わり各勢力が複雑に絡み合う危険地帯。景信は、南部藩に潜入していた女忍者・紫野を寝返らせることに成功するが―。

 桜井さんは受賞の言葉で、主人公がステレオタイプの忍者ではないことに言及。「弱きを知る者の内面に起因する強さを描きたいと考えた」と狙いを語っています。また、「これまでは、面白いものを書きたい一心で乱筆を走らせてきましたが、これからは、面白さの上に、深みや重みといった要素を一段でも二段でも積み重ねていけるよう、精進し続けてまいります」と決意を込めました。

 受賞作は4月22日発売の小説現代5・6月号合併号に掲載予定。6月に講談社から、タイトルを変更した上で単行本として発売され、贈呈式も同時期に行われる予定です。

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