さわや書店(本店・盛岡市)で外商部兼商品管理部部長を務める栗澤順一さんの初著作「本屋、地元に生きる」が2月22日に発売。故・伊藤清彦さん、田口幹人さんら名物書店員との歩みを振り返り、新境地で切り開いた収益源、地域での存在価値などもしたためています。
栗澤さんは1972年、釜石市生まれ。岩手大卒。盛岡市内の広告代理店に入社後、老舗書店チェーン・さわや書店に転職。本を紹介するための書評寄稿、ラジオ番組出演だけでなく、教科書販売からイベント企画、出張販売、オリジナル醤油のパッケージ開発まで幅広く手掛けています。
本著では、さわや書店を語るうえで欠かせない書店員たちの活躍も紹介。伊藤さん(一関市出身)による書店改革や伝説の仕掛け販売のほか、田口さん(西和賀町出身)との出会い、フェザン店から全国へ広がった「文庫X」のムーブメント、物産展や駅のリニューアルへの協力などについて述懐しています。
「仕事で必要なノウハウはすべて営業で学んだ」「地域経済の輪のなかで」「ヒントはいつもまちの中に」の各章では、栗澤さん自身の奮闘を記録。異例のコラボで実現した減塩しょうゆ「いわて健民」、創業70周年記念の裂き織りブックカバー、自費出版から誕生したヒット作といった働きぶりから、熱い思い、数々の新たな試み、妥協しない姿勢が読み取れます。
さらに、田口さんとの対談も掲載。田口さんはさわや書店を退職後、合同会社未来読書研究所を立ち上げたほか、一関市の北上書房の役員を務めるなどして本に携わり続けています。対談では「さわや書店と北上書房」「伊藤清彦の生き方」「小さな本屋をいかに持続可能にしていくか」といったテーマを語り合っています。
四六判、224ページ。KADOKAWA発行。税込み1650円。