JR水沢駅から徒歩10分の奥州市水沢袋町。商店が立ち並ぶ国道397号沿いにたたずむ「315BEER(サイコービール)」は、オーナーでブルワーの岩淵俊さんが醸造から販売までほぼ一人でこなす“まちの小さなブルワリー”。空き店舗を改装して2019年6月に醸造開始。奥州市初のブルワリーとしてファンを増やしている。
ビールは店頭で量り売りし、常時4種類をラインアップ。定期的に仕込む「FRESH&DIRTY」は爽やかなかんきつ香を感じるヘイジーIPA。味と香りが強く苦みは控えめな”分かりやすいおいしさ“なので、クラフトビールの入門編にもおすすめ。購入には、グラウラーと呼ばれる専用ボトルを持参する。週末を中心に、出来たてのビールをテイクアウトするリピーターが増えている。
岩淵さんは元会社員。「いつか自分の店をやってみたい」と考えていたときにマイクロブルワリーの存在を知り”これだ“と直感した。「ビールは買うものという発想しかなかった。造ってみたいという好奇心が原動力でした」。県内外のブルワリーでビール造りを学んで開業。店名の「315」は自身の誕生日に「最高、再興、さあ行こう!」などの言葉を重ねた。
造るスタイルはIPA、セゾン、ゴールデンエールなど。夏は軽めで爽やか、秋は味わい深く…など季節感も意識し、今夏は地元産の梅を使ったフルーツセゾンが好評。コーヒー、摘果ブドウ、米など、地元の知り合いからビールの副原料を提案されることも増え、「こんなビールが飲んでみたい、というオーダーにも応えていきたい」と話す。
対面販売のため、客の反応がダイレクトに耳に入るのもやりがい。「おいしいと言ってもらえるのが何より。いろんなビールを、とにかく楽しんでもらえればうれしい」と岩淵さん。グラウラーはレンタル可能。樽生が飲める奥州市内の飲食店も増えている。
※SNSに営業カレンダー掲載
※取扱飲食店(8月現在)キッチンアンドウ、らいおん食堂、CLIMB、弥科(以上奥州市水沢)
(いわにちリビングun 2022年9月9日号掲載「街角ブルワリー」特集より)