デビュー作「おらおらでいぐも」で第54回文藝賞と第158回芥川賞を受賞した若竹千佐子さん(遠野市出身)の待望の第2作「かっかどるどるどぅ」が、5月25日に発売。いかに「共に生きていく」かを描いた群像劇で、若竹さんは「今、こんな時代! だからこそみんなで生きよう」とメッセージを寄せています。
「かっかどるどるどぅ」は、それぞれに孤立した4人が登場。女優になる夢を捨てきれず、つましい暮らしを送る60代後半の悦子。夫を亡くし、舅姑の介護に明け暮れ、自分を持たないまま68歳になった芳江。大学院を出たものの就職氷河期に重なり、非正規雇用の職を転々とする30代の理恵。そして生きることに不器用で、自死まで思い詰めて河川敷に座り込む20代の保。ままならない不安な毎日を送る4人は、引きつけられるように古いアパートの一室を訪れるように。そこでは片倉吉野という不思議な女性が、訪れる人たちに食事を振る舞っていた―。
一人ひとりの人間性を軽んじるような社会に対して抗う姿を、東北弁などの豊かな文体を駆使して活写。人々を励ます感動の群像劇で、若竹さんの真骨頂と言える作品です。
四六判、228ページ。河出書房新社発行。税込み1650円。