偕成社(本社東京都)は、「日本の川」シリーズの8作目「きたかみがわ」(作・村松昭)を刊行しました。岩手、宮城の両県にまたがる全長249kmの北上川を描いた絵本で、「流域に住む方には、ぜひ手にとってじっくり眺めていただけたらと思います」とPRしています。
物語の案内人は「土偶の神さま」と、北上川の始まりの場所である七時雨山周辺に住む男の子。2人は雲に乗り、上空からの視点で川をたどっていきます。
ページをめくると、あちこちに流域の名産品や鉄道、動物などが描かれています。北上川は四十四田ダムを経て花巻空港を通り、一関市から宮城県登米市に入って水門と洗堰に出合い、最後は石巻市から石巻湾へ。途中の奥州・平泉では2人が900年前へ「ひとっとび」し、当時の中尊寺周辺を案内する場面もあります。
作者の村松さんは1940年、千葉県で誕生。鳥瞰絵図作家として活動し、「日本の川」シリーズは2008年、東京都の多摩川から創作がスタート。東北の川を取り上げるのは初めてで、「縄文文化の遺跡が多いことなどから、東北圏でやるなら北上川しかないと思っていた」そう。「昔から人々の暮らしと深くかかわってきた川のため、歴史が壮大で深い。下流域の震災被害についても語るべきことがたくさんある。本作を見る人がそれぞれに感じてもらえればうれしい」と話しています。